苦しかった時の話をしようか

今回はまた書評をやっていきたいと思います。

苦しかった時の話をしようかという本でP&GからUSJに入社し、USJの再建に大きく貢献したマーケターとして知られる人です。

その彼が大学生くらいの娘にキャリアについて伝えたいことをたくさん書いた本です。

人間は基本的人権の話をするとき以外は平等ではない。

これは最初に読んだときイラっとしたポイントでした。

私は人間は神と法の下で平等なのだという信念の持ち主なのでなんだコイツ自分が偉いと思いあがってんのかと思ってました。

しかし読み進めると「人間は生まれつきの特徴、家庭環境、社会に望まれる命であるかどうか、スタートラインが平等であるはずがないんだ」という。

なんだ当たり前のことを言っているだけじゃんか、まずはそこを受け入れたうえで最良の選択や判断をするべきなのは確かにそうなのかもしれない。

もし私がイケメンなら10歳の時に恋愛に1秒の時間も一円のカネも割かないという決断をしていなかったかも知れない。

おそらく強みを生かしてそこから享受できる便益を使い倒していたでしょう。

もし私が家庭環境に恵まれ、クラスで一番、学年一桁という地位を中学高校で得られなかったら受験に傾倒することはなかっただろう。

こんなことを考えていました。

自分のユニークな特徴さえ認識できれば、一人一人が特別な価値を生む可能性がある。

これは本当にそう思います。みんなに分かりやすい例をあげたらさかなクンがしっくりくるでしょう。

なんと帽子の着用が禁止されている国会でもあの魚の帽子の着用は認められています。

それだけ彼の魚オタクという特徴は他の誰にも負けないものでしょう。

さかなクンの代わりになるテレビタレントはいないでしょう。

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また予備校講師の林修氏は超進学校東海高校から東京大学をでて現代文の講師をしてたがたまたま講義中に口をついて出たセリフがCMで受けて2013年にブレイク。

現在も他に変わりの利かないタレントとして活動されていますね。

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自分がコントロールできる変数「①己の特徴の理解②それを磨く努力③環境の選択」

これは林先生に昔おさわりました。林先生は数学が好きで数学の講師をやっていたが①現代文なら自分が勝てるという特徴を把握し、②そこで誰よりも工夫と努力をして③勤務先の予備校も河合塾から東進へ変更した。この林先生の自己分析が当たっていたから人気講師として頭角を現したんだと思います。

僕は特に①の部分は頭で考えるだけでは意味がなくてアルバイトや部活などのほぼやらなあかん空気になっているものに取り組んだり、興味を持っていることにたくさん飛び込んだりしてやっとわかることだと思います。

私は中学、高校時代の部活で自分は終業後に拘束されて集団生活を送ることが苦手だと悟った私はその後の学校生活で放課後の付き合いは必要最低限に絞ることにしました。

また就職を考えたときに頭で何が向いているかを考える時間は結局何も分からんwww手状況になりやすかった記憶があります。

資本主義は無知であること、愚かであることに、罰金を科す社会

これは東大生の親の平均年収は高いというデータを持ち出して主張に根拠づけを行っていて反論しようがないですね。

僕は受験は教材と環境、本人の根気と集中力がものをいうソシャゲだと思ってます。

決して河野玄斗や松丸亮吾といったクイズ王や高IQの人のような才能を要求するものではないと思ってます。

なぜなら合格する人数も毎年ある程度決まっていて、出題する範囲も決まっていてその中から解くべき問題を解いていればかなりの確率で成功できるからです。

 

年収の期待値の上下は知ったうえで、それでも自分にとって情熱の持てる好きな仕事を選ぶべき

 確かにこれは年収の上下と好き嫌いは把握しておかなければ無駄なキャリアプランの変更を強いられることが多いと思います。

私は理屈っぽく、個人の自由が業務以外のことで制限されることが苦手なので事業会社の営業は不向きで、抽象的な概念を人に説明することは得意だから士業だろうと思い公認会計士試験にbetしました。そこでなら自分の価値を社会に対して生み出せると思いました。

また森岡氏は自分のやりたいことに必要なお金以上のものを求めて健康を損ねたり危険を冒すことは愚かな行為であると語っています。

僕はこれは同意できて銀行や商社に比べれば給与水準は勉強の負担のわりに低いというデメリットは甘受することにしました。銀行員、商社パーソンは公認会計士とは比べ物にならないほど出世競争の環境は厳しくや、拘束時間や残業時間は監査法人の平均よりかなり長かった記憶があります。

つまり年収の上下と好き嫌いのマトリックスを作って自分の効用を最大化できる点は会計士だと思って勉強を始めた私にとって共感できる内容でした。

後半のページに筆者の会社員時代の生々しい苦労と乗り越えた達成感が書かれていて筆者のバイタリティと情熱を感じました。

娘がこれから世界に飛び立つという状況で自分がしてやれることは少なくなってしまうことは寂しいけど、生まれたときの思い出はかけがえのない幸せな思い出だと書いてあり、父親とはこういう心境になるのかと不思議に思いました。私がこんな風に思う日は来るのだろうか?