大塚家具久美子社長の解任について思うこと

 

 前回に続いて大塚家具関連で書こうと思う。

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こちらの記事によると大塚家具の久美子社長が業績不振による引責辞任したことを受けて株価はストップ高となったそうだ。

M&Aの世界では凡庸な経営者を追放して有能な経営者が経営を行うことで企業価値が向上する経営改善効果を見込んで投資家たちが株式を買い付けることによって株価が高騰することがある。

後任の人事は大塚家具の会長と社長はヤマダ電機出身の役員が兼任する形となるという。

ここで僕なりの考察をしてみたいと思う。

まず先代の勝久社長はかなり頑固な昭和おやじの雰囲気を感じる。いいものを作ってそれを提供することによって利益を出して会社を大きくした職人気質の経営者だと思う。

上場するまでは勝久氏がやり手のワンマン経営者で一橋大学出身でMBAを持つ娘の久美子社長は経営の理論を学んでその知見をもって大塚家具が上場企業としてやっていくのに貢献したのではないかと思う。

しかし、2015年にプロキシーファイトによって久美子氏が勝久氏から経営権を奪い取る形となった。

https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/230078/042200038/?P=1

 2016年のこちらの記事によれば勝久氏は久美子氏は役員の誰かにそそのかされたのではないかと言われている。

勝久氏は大塚家具の内部に関わる人間の資質を直接会って厳正に信頼できる人物を選び抜く姿勢を貫いていたが娘に委任するようになってからはなるべく口を出さないようにしていたようだ。

勝久氏は今までの顧客を大事にしない上にきちんとしたビジョンを提示できない久美子社長率いる大塚家具の心配をしていたが2020年現在その心配は当たった形となった。

この記事では勝久氏は匠大塚の経営に関して1969年の創業の時よりわくわくしていると語っているがこの発言から勝久氏は上場企業で市場で株式を買い付けに来る利害関係者のことを気にせずに経営できるほうが自身の手腕を発揮できるタイプなのではないかと僕は思う。

作るもの、付き合う人間にとことんこだわる勝久氏にはどこの馬の骨ともわからぬ市場の投資家のいうことになどあまり耳を傾けなさそうである。

ワンマン経営者ぽさを感じるので上場企業の経営者というよりかは非公開会社の経営者が向いているのではないかと思う。

しかし、久美子社長はなまじコンサルの人の思考に通じ、その力に自信を持っている分、そそのかした人物からすれば攻略しやすい人物なのではないかと思う。

久美子社長は理にかなった経営のできる人物であるとは思うが、経営に対する情熱や信念はとって代るものがなかったのではないかと思う。

インターネット上では久美子社長は無能だという意見が散見されるが決してそうではないと思う。

大塚家具が上場企業でうまくやっていくのには彼女の知見は必ず役に立ったはずである。そうでなければ親の七光りだけでは上場会社の代表取締役は中々数年続けられるものではない。

外国の投資ファンドなども今回の騒動に絡んでいる以上、本当に無能であればすぐに刷新されてしまうはずである。

短期的な利益を目論んだ投機家か、大塚家具を乗っ取ろうともくろむ勢力にとって理論派の久美子社長が手玉に取りやすい人物であったに過ぎないと思う。

大塚家具と匠大塚、戦後日本のモノづくりの文化の一端を担ってきた会社がワイドショー的な話題で潰れてしまうのは忍びない。

余裕のある高齢者、日本の技術や文化に関心を持つ外国人になんとか選ばれ続けてほしいと切に願う。