2月の勝者を読んだ感想

そろそろ一月も終わる頃、世間はコロナの感染者数の増加で成人式や共通テストなどの各種イベントで例年とは違った対応を求められるようになりました。

そんな中、小学生達があるイベントに挑む。

そう中学受験である。

私が小学生や、中学生だったころはまだ都会の一部の裕福な家庭の小学生が行うイベントであるという印象が強かったと思います。

周りに受けたいと話してもなかなか理解してくれる大人はいなかったと記憶しています。

近年ではジャガー晶さんの息子さんが朝の情報番組の「スッキリ」などの特集で報道されたりするようになり、認知度が上がってきたように感じます。

それでも中学受験という世界は経験していない大人のほうが多いと思うのでなかなかお子さんに受験させようというご家庭は少ないのではないでしょうか?

私は大学時代に神戸や西宮のY-SAPIXという中学受験塾で試験監督のバイトをしていた経験からやはり彼らの集中力や、好奇心には大人が見習うべき点が大きいと思いました。

そんな中学受験の世界を描いた漫画があり、多くの塾業界の方にも大きな反響を呼び、中学受験のリアルを生々しく描きながらもそこを取り巻く登場人物がいろんな思いを抱きながら中学受験に挑み、大人も子供もいろんな困難を乗り越える過程で成長していく物語です。

まずは受験塾に求められている役割に対する主人公の敏腕塾講師黒木とヒロインの新人講師佐倉の見解の相違が考えさせられました。

あくまでサービス業に徹する主人公と教育者としてあるべきだと考える佐倉との間で見解が割れていました。

つまり成績向上や、受験サポートを通じてあくまで保護者の機嫌を損ねずに売上を伸ばすことを目的に動く黒木に対して、保護者や子供に対して正しくあるべきと教えようとする佐倉はぶつかったわけです。

個人的には塾は黒木の側の論理で動いているなぁと思いました。

なぜなら塾は合格可能性を上げるのが仕事で人間教育などに対してほとんどコミットすることができないからです。

また塾は教育業界といえども営利企業なのでやはり慈善事業では決してなくそこはビジネスライクな黒木に僕は分があると思いました。

 

この漫画の登場する生徒はそれぞれ違った悩みを抱えています。例えば、開成志望の男子生徒の島津君は、塾内では抜群に成績が良いのですが開成に受かるにはやや力不足といった状況でした。そのため父親がヒートアップしすぎてあまりの家庭内暴力に離婚を決意するほど家庭内に問題を抱えていました。その結果、母親は収入が少ないため中学受験を続けること自体が難しくなりました。しかし、主人公の塾講師黒木先生が奨学金の利用を薦めてなんとか中学受験の勉強を続けることができました。

また双子の兄弟で中学受験を迎えた上杉海斗、陸斗兄弟は弟の陸斗が志望校が男子の御三家の一つ麻布中学SAPIXの最上位層で力を振るっており、合格が確実視されています。一方の兄海斗のほうはSAPIXでの成績が振るわず、黒木の塾に転塾しました。

上杉家では弟の陸斗には麻布合格への期待を大いに寄せる一方で、兄海斗には無理をせずに頑張るように言います。

上杉家の両親は優しく見えますがやはり海斗の心境は押して図るべきだと思います。

双子の弟に成績で大きな差をつけられた挙句、親の期待度でも差がついてしまえばコンプレックスは尋常ではないでしょう。

最初は中堅校どまりと思われたが成績トップの島津との邂逅によってどんどん成績を伸ばし、ついに島津と共に開成を目指すようになります。

私は個人的には島津、上杉コンビに何とか受かってほしいとめっちゃ応援しています。

またこの漫画の魅力は何といってもリアリティだと思います。塾業界の方が何人も口をそろえて正鵠を射ていると評価するのもうなづけるほどの参考文献が巻末に掲載されています。

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中学受験に興味のある方、教育、塾業界に興味のある方は読んでみるとよいと思います。